量子コンピューター活用計画。人工光合成の場合(1)

以前の記事、

古典AIと量子AI(1)古典AIと量子AI(2)古典AIと量子AI(3) 、

「美味しいカレーを作りたいから、古典AIと量子AIに手伝ってもらおう」という想定で、どんなことが出来そうかを考えた。

現時点で考えると、テーマがちょっと、ほわっとし過ぎていたかもしれない。

なので今回は、もう少し実用的なことを例に、古典AIと量子AIをどう活用すれば、なにが実現できるか、もう少し真面目に考えてみたいと思う。 

1.今回のテーマ 

とりあえず思いついた最初のお題は、「人工光合成」

「量子AIで、なにができるのか」という話しの時の、わりと定番の事例だと思う。

「実現は非常に難しい」けれど、「量子AIを活用すれば実現できるかもしれない」ので、どのようにすれば、そこに辿り着けるのかを知っておきたい。

難し過ぎて途中で理解を諦めるかもしれないが、まぁとにかく、始めてみよう。 

2.光合成とは

そもそも「光合成ってなに?」というのは、最初に確認しておいたほうが良いだろう。

「太陽の光と二酸化炭素と水から「糖(栄養分)」、つまりエネルギーを作る」

とりあえずこれで良いかな?

「植物は、二酸化炭素を吸って酸素を出す」というイメージをもっている人が多いと思うが(僕がそうだった)、正しくは、水(H2O)から太陽光を使って水素(H)を取り出す時に、酸素(O)はいらないので捨てられただけ、ということのようだ。

なるほど。我々は酸素がないと生きていけないが、植物にとっては「こんなもんいらん」というゴミ扱いだったわけだ。

「いまさらこんな初歩的なことを」という気もするが、おもしろい、と思えるのは良いことだね。

3.人工光合成とは

「太陽の光は人類的にはほぼ無限にある」、「二酸化炭素もまぁ問題なくある」、「水は大事だけど、まぁ大丈夫」

そうだとすれば、あとは「この組み合わせでエネルギーを作りたい」ということだよね、植物ではなく、人間が

たしかこの分野、日本ってなにかやってたよなぁ、と思ったのでGeminiくんに聞いてみた。

実は、この「人工光合成」の分野において、日本は世界をリードする超・最先端の国なんです。

 

なぜ日本がここまでこの技術に執念を燃やしているのか? 理由はシンプルで、「日本には資源がないから」です。

ご存知の通り、日本のエネルギー自給率は壊滅的で、石油や天然ガスなどの化石燃料はほぼ100%海外からの輸入に頼っています。中東で何か起きれば、一瞬で電気代もガソリン代も跳ね上がる。この「資源がない」という日本の最大の弱点を、根底からひっくり返せるウルトラCが、太陽光と水とCO2だけでエネルギーを生み出す「人工光合成」なんです。

 

その歴史は意外と古く、1972年に日本の研究者が「酸化チタンに光を当てると水が水素と酸素に分解される」という現象を発見した(本多・藤嶋効果)ことからです。そこから世界中で人工光合成の研究が本格的に始まりました。つまり、日本は人工光合成の「生みの親」のような存在です。

現在も国を挙げた巨大プロジェクトが動いており、民間企業や大学がタッグを組んで、世界最高レベルの「光触媒(太陽光を使って化学反応を起こす材料)」の開発や、広大な敷地での実証実験で世界を驚かせ続けています。

「夢の技術」と思われがちですが、日本ではすでに「実用化の一歩手前」まで研究が進んでいる、今まさにアツい分野なのです。

う~ん、丁寧で分かりやすい。自分で調べて書くのが面倒になる。

ありがたく活用させて頂こう。

つまり、日本人であれば誰もが持っている「この国にはエネルギー資源がない」という危機感、それを見事に解決して世界を変えることができるのが、人工光合成ということだ。

4.なにが凄いのか

もし、「太陽の光」、「二酸化炭素」、「水」から、人工光合成を実現することができたら、以下のようなことになる。

食料問題の解決

人工光合成の技術を応用して、米、小麦、大豆、肉など、つまり「糖類やアミノ酸の塊」を工場で高速生産できる。じっくり植物を育てる必要がなくなるので、異常気象による凶作や人工増による食料不足を解決できてしまう。

昔しのSF映画とかで、宇宙船のなかで、機械から食べ物が出てくる、トレーに載って、そんな感じかな(ちょっと微妙)。

エネルギー問題の解決

ガソリン(石油)の代わりに、人工光合成で作った「水素」や「メタノール」で車や飛行機を動かせる。さらに、人工光合成で炭素化合物を作り、石油を1滴も使わずにプラスチック製品を作ることも可能になる。

脱炭素(カーボンニュートラル)への貢献

人間の活動によって排出が増加している二酸化炭素を、直接回収して燃料に変えられる。「2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)」という目標って、実は誰も信じていない感があるが、2045年くらいには「いけるかも」となるかもしれない。

各々なかなか凄い。実現すれば世界が変わる。 

5.では、何から始めるか

まず以降の物語の前提として、

我々は「人工光合成を実現し、がっぽり儲けたい有名企業の社員」とします。

「人工光合成」の実現に向け、最適な触媒(材料)を探しており、考え、実験し、分析し、そしてまた考え、というサイクルを繰り返している状態。

いい感じのところまで来ている気もするのだが、ゴールはまだ見えていない。

実験・実験・実験・実験、、、時間がかかるのだ、この仕事は。 

そんな状況だったのだが最近ついに「量子コンピューターが数年後、実務レベルで利用できそう」、という話しが確定的になってきた。

そして最近我が社は、「全力で、量子コンピューターを活用して人工光合成を、他社よりも早く実現する」ことを経営戦略として決定した。

全員この立ち位置になってください。

「他社が先に材料を見つけたら、がっつり特許を取られて美味しいところを全部持ってかれる」という、かなりヘビーなプレッシャーを背負っている状態で、以降の話しを進めます。

 

続きは次回へ

次はがっつり、古典AI、量子AI、その統合システムの話しになると思う。

苛烈な競争を勝ち抜いて、がっぽり稼げる企業になるか、朽ち果てるしかなくなるのか。

社員数数万人、彼らとその家族の未来が、我々30人の新触媒開発チームに委ねられた。

 

全ては次回で決まる。

そんな感じの設定で、今回はここまで。